日高理恵子 空と樹と

会期: 2017年4月22日(土)-11月30日(木)

主催: ヴァンジ彫刻庭園美術館

日高理恵子は日本画の素材を用いながらも、伝統的な様式に捉われることなく、現代アートのフィールドで活躍している画家です。日高の絵画の特徴は、樹をモチーフとして、真下から見上げる視点で描かれていることにあります。季節を問わず、野外で行われる入念な観察とデッサンから、大画面に無数の幹や枝、葉、花芽が隅々まで描かれていきます。また、岩絵具を何層も重ねて麻紙に定着させることで、モノクロームの画面は細かな粒子が呼吸をするように、繊細で豊かな色調を帯びています。

1980年代後半より、「樹を見上げて」「樹の空間から」と作品タイトルを変え、少しずつ変化してきた作家の関心は、2002年に始められた「空との距離」から、樹と空との間の「距離」に向けられていきます。日高は樹と空と、そしてその間にある測りしれない空間を、自身の身体を通して見て、感じ、描くことで、独自の絵画表現を切り開こうとしています。樹を見上げる体験から生み出される絵画は、空間の未知なる拡がりを感じさせ、私たちを絵画の内へ、外へと誘うことでしょう。

国内の美術館で2004年以来の個展となる本展では、「空との距離」シリーズの最新作で構成された展示をご覧いただきます。近年、日高は作品展示そのものへも意識を向け、絵画に生まれる空間をより拡張させる手法に取り組んでいます。絵画の内と外にある空間が、見る者の身体を包み込むような特別な体験をぜひご堪能ください。

  • 《空との距離XIII(ドローイング)》2017年 © Rieko Hidaka Courtesy of Tomio Koyama Gallery

  • 《空との距離XIV(ドローイング)》2017年 © Rieko Hidaka Courtesy of Tomio Koyama Gallery

  • 《空との距離XIII》2017年 © Rieko Hidaka

開館時間:4-8月 10:00-18:00/9-10月 10:00-17:00/11月 10:00-16:30(入館は閉館の30分前まで)
休館日:水曜日(5月3日(水)は開館)
協力:小山登美夫ギャラリー、エクリ
入館料:4-10月 大人1,200円(1,100円)/高・大学生800円(700円)/中学生以下無料
11月 大人1,000円(900円)/高・大学生500円(400円)/中学生以下無料
※( )内は20名様以上の団体割引

  • 作家インタビュー

作家紹介

  • 日高 理恵子 Rieko Hidaka

    Photo: Mie Morimoto

    1958年東京都生まれ。1985年、武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻修了。現在、東京を拠点に制作活動を行う。1995年から1996年まで、文化庁芸術家在外研修員としてドイツに滞在。主な個展に、国立国際美術館(大阪、1998年)、アートカイトミュージアム(デットモルト、ドイツ、2003年)など。主なグループ展に、「CHIKAKU: Time and Memory in Japan」(クンストハウス・グラーツ、オーストリア、他巡回、2005–06年)、「Rising Sun, Melting Moon: Contemporary Art in Japan」(イスラエル美術館、エルサレム、2005–06年)、「Kami: Silence-Action」(ザクセン州立美術館銅版画館、ドレスデン、ドイツ、2009–10年)、「開館10 周年記念展『庭をめぐれば』」(ヴァンジ彫刻庭園美術館、静岡、2012年)など。

展覧会関連刊行

  • 『日高理恵子作品集』 Rieko Hidaka 1979-2017

    発行:ヴァンジ彫刻庭園美術館
    発行日:2017/10/5
    ISBN:978-4-904257-42-5

    書籍詳細

    ただ“見ること”に向き合い、樹と空とを描く
    35年にわたって樹を見上げ、感じ、描いてきた画家・日高理恵子。絵画の探求に向けられた表現の本質を、約100点の作品図版と作家の言葉、多彩な論考でたどる待望の初作品集

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