菅木志雄  Kishio Suga

会期:2014年11月2日(日)―2015年3月24日(火)

主催:ヴァンジ彫刻庭園美術館

菅木志雄(1944-)は1960年代後半より木や石などを用い、自然物とそれを取り囲む空間を探求し続けている美術作家です。多摩美術大学に学び、在学中の1967年にシェル美術賞展で第一席に入選した菅は、自然物や建材を仮設的に配置する独自の制作手法によって、未加工の物質を作品として提示し当時「もの派」と呼ばれた作家の1人として注目を浴びました。1960年代後半は大学紛争など社会制度が大きく揺れ動き、美術においてはミニマル・アートやアース・ワークなど海外の動向を視野に入れつつ、「つくること/つくらないこと」という根源的な問題から作家と物質の関係が厳しく問い直された時代でした。
菅の作品の独自性はさまざまな素材が接し、つながれ、囲われることで物質が相互に依存し合う場を生み出す点にあります。作品は一時的な状態であり完結することがなく、時代や場所を変え再制作されるそのシステムに作品の可能性を見出すことができます。刻一刻と変化する私たちを取り巻く複雑な環境に向かい、普遍的な構造を抽出しようとする作家の鋭敏な感性が作品には反映されていることでしょう。
本展では「野展」と称して写真でのみ記録された野外作品が40年の歳月を経て制作され、70年代以降から新作まで時代ごとの代表的な作品が展示されます。また鑑賞者の前で数多く実践された「アクティヴェイション」(作家によるパフォーマンス)や、制作と並行して執筆されてきた批評など貴重な映像・図書資料を交え、国際的な評価とともに近年改めてその現代的な意義が問われる菅の「一過性の世界」の構造に向けられた思考をたどります。

  • 《周位律》1997/2014年

  • 《内外環縁》1989年 Photo: Tsuyoshi Satoh

  • 《無限状況》1970年

  • 《全体の中の一側面》1978/1998年 photo: Tsuyoshi Satoh

主催:ヴァンジ彫刻庭園美術館
協力:小山登美夫ギャラリー、正翠園

作家紹介

  • 菅木志雄  Kishio Suga

    Photo by Mie Morimoto

    1944年、岩手県盛岡市生まれ。64年に多摩美術大学絵画科入学、斎藤義重教室にて学び68年卒業。68年の椿近代画廊での初個展以降、個展、グループ展に多数出展。また作品制作と並行して、多くのパフォーマンス(2004年にすべてのパフォーマンスを「アクティヴェイション」に改称)や執筆による批評行為を今日まで継続して実践、さらに小説の執筆(『渡海鳴鳥』講談社、00年・『樹下草怨』東洋経済新報社、08年)、映画製作(映画『存在と殺人』監督・脚本、99年)など活動は多岐にわたる。
    主な個展に、「菅木志雄展」(広島市現代美術館、伊丹市立美術館、神奈川県民ホールギャラリー、千葉市美術館、97-98年)、「菅木志雄 – スタンス」(横浜美術館、99年)、「揺らぐ体空 菅木志雄インスタレーション」(岩手県立美術館、05年)、国際的なグループ展に第38回ヴェネチア・ビエンナーレ(ジャルディーノ公園日本館、イタリア、78年)、「前衛芸術の日本」(ポンピドゥーセンター、フランス、86年)、「戦後日本の前衛美術」(横浜美術館、その後ニューヨーク・グッゲンハイム美術館へ巡回、94年)ほか多数。
    国内での評価はもとより、近年「もの派」の国際的な関心の高まりのなか、「太陽へのレクイエム:もの派の美術」(BLUM & POE、ロサンジェルス/Gladstone Gallery、ニューヨーク/ともにアメリカ、12年)、「Prima Materia」(Punta della Dogana、ベネチア/イタリア、13年)、「Other Primary Structures」(Jewish Museum、ニューヨーク/アメリカ、14年)などに出品。国内の美術館では9年ぶりとなる当館での個展開催と同時期に、東京都現代美術館でも個展を予定している。

展覧会関連刊行

  • 菅木志雄

    発行:ヴァンジ彫刻庭園美術館
    発売:NOHARA
    刊行日:2015/2/12
    ISBN:978-4-904257-29-6

    書籍詳細

    もの派」を代表する美術作家 菅木志雄の作品を、多数の論考により現代の視点から読み解くヴァンジ彫刻庭園美術館「菅木志雄」展覧会カタログ。特典に、菅による書き下ろしミステリー小説『双天のゴライアス』付。
    展覧会展示風景とともに、80年代以降の作品制作の様子を収めたドキュメント写真を収録。作家の未発表論考を含めた美術評論家、学芸員ら寄稿者による多数の論考によって、近年の国際的な評価とともに現代的な意義が改めて問われる菅木志雄の作品を、多面的に読み解いていきます。

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