イケムラレイコ PIOON

会期:2014年4月20日(日)─ 2014年10月14日(火)

主催:ヴァンジ彫刻庭園美術館

イケムラレイコは1972年に日本を離れ、その後ヨーロッパを拠点とした活動のなか、絵画、彫刻、ドローイングなど多岐にわたる表現により、私たち人間の存在を根源的に問い続けてきた作家です。海外での高い評価のみならず、日本では2006年にヴァンジ彫刻庭園美術館での個展、また2011–12年には東京国立近代美術館と作家の生まれ故郷にある三重県立美術館での回顧展など、80年代初頭から現在までの着実な歩みが国内でも近年広く知られることとなりました。
イケムラの作品は、横たわる少女像や移ろいゆく自然の風景、また名もない生物たちの有機的な形にみられるように、生の営みの循環が主題とされる点に特異な表現性をもちえています。揺らぎがもたらすその変容は人間と動物、自然の境界が時に交わることで、生と死、理性と本能、西洋と東洋といった本来対立する要素を作品のなかに内包させることとなります。海外で活動を続け、共同体内にいながら常に他者であり続けた作家自身に象徴されるように、それらの表現はまた私たちの世界に内在する愛や疎外、孤独をもあらわにしていることでしょう。
当館で8年ぶりの開催となる本展では、変容を表面と内部に物質として宿す彫刻が中心となります。80年代後半、イケムラが生命の原型を探求する過程において画面内で伸長していった無数のドローイングの線は、同時期に始まったテラコッタによる彫刻と並行するように、頭部に2本の長い耳をもつ“うさぎ”へと変異していきました。作家の手によって生み出されたうさぎとは、その自由奔放さによって外部への跳躍が許された特権的な存在だったといえるかもしれません。本展では90年代に制作された彫刻から全長3.4メートルにおよぶ最新作《うさぎ観音》まで、数多くのうさぎがあらわれます。長年の制作活動において改めて作家が現代にうさぎを切望し、作品に託した思いとははたして何だったのでしょうか。イケムラレイコのうさぎが紡ぐ美術館と庭園をめぐる物語がいま始まります。

  • 《Baby Hare》 2002
    ©Leiko Ikemura

  • ©Rinko Kawauchi

  • 《Trees on Head》 2013
    ©Leiko Ikemura

  • 《うさぎ女》 2011
    ©Leiko Ikemura

主催:ヴァンジ彫刻庭園美術館
協力:滋賀県立陶芸の森、Atelier Philipp von Matt, Architects、Galerie Karsten Greve、ShugoArts

作家紹介

  • イケムラレイコ

    ©Rinko Kawauchi

    三重県津市生まれ。
    1970-72年大阪外国語大学スペイン語科に在籍後、72年にスペインに渡り、セビリア美術大学に学ぶ。1979年にスイス、83年にドイツに移り現在はベルリンとケルンを拠点に活動を行う。1991年よりベルリン芸術大学(UdK)教授。2009年にアウグスト・マッケ賞を受賞。近年では2011-12年に東京国立近代美術館(東京)、三重県立美術館(三重)で個展を開催、また2013年にはカールスルーエ州立美術館(ドイツ)で個展を行い、ヨーロッパと日本を中心に高く評価されている。2014年にヴァンジ彫刻庭園美術館にて8年ぶりの個展「イケムラレイコ PIOON(ぴよ~ん)」を開催する。

展覧会関連刊行

  • イケムレイコ作品集

    刊行日:2014年10月8日
    価格:¥4,536(税込)
    発行:ヴァンジ彫刻庭園美術館
    発売:NOHARA

    書籍詳細

    彫刻、絵画、写真
    最新作から初期へと遡行する、国内初のイケムラレイコ作品集
    本展での最新作から初期80年代へと作家の道のりをたどり、約100点の図版とともにその表現の豊かさを示す作品集です。自身の彫刻をとらえた写真作品も初の紹介に加え、国内外の寄稿者の論考も充実した内容で収録。

  • イケムラレイコ 川内倫子『きらきら』

    刊行日:2014年10月8日
    価格:¥2,484(税込)
    発行:ヴァンジ彫刻庭園美術館
    発売:NOHARA

    書籍詳細

    2人の作家が詩と写真で交わす対話の書。
    絵画、彫刻を主な手法に自身も写真を手がける現代美術作家イケムラレイコ。研ぎ澄まされ張りつめた制作の場に同席するほど信頼する写真家、川内倫子。数年前から親交の深い2人がともに過ごした信楽の彫刻制作の場や、離れて互いの世界を放ちあい応えながら続く清冽な交信の軌跡が1冊の作品集になりました。イケムラレイコが信楽の最新作に取り組むなか生まれた言葉、それに触発された川内倫子の写真が対峙します。
    それぞれの旅とともにあった往復書簡も巻末に収録。

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