イベント

《あかるい影》のためのフルートソロコンサート

2022年3月27日(日)16:00-16:30

ヴァンジ彫刻庭園美術館

Photo:Tadasu Yamamoto

「すべての ひとに 石が ひつよう 目と、手でふれる世界」展のために制作された、ホセイン・ゴルバの《あかるい影》。当館の屋外庭園に設置された本作の前で、ゴルバ氏と公私ともにパートナーであるフルート奏者・段田尚子によるソロコンサートを行います。本作から受けたイメージをもとに選ばれた3曲をぜひお楽しみください。
なお、本演奏は同日に開催されるトークイベント「なぜすべての人に石が必要なのか?」終了後に開催されます

出演:段田尚子(フルート奏者)
場所:ヴァンジ彫刻庭園美術館 下部庭園《あかるい影》前
定員:なし(予約不要)
料金:当日の入館料のみ
※雨天中止

<演奏曲目>
カール・ニールセン作曲『子どもたちが遊んでいる』
ピエール=オクターヴ・フェルー作曲『3つの小品』より第1曲「恋する羊飼い」
クロード・ドビュッシー作曲『シランクス』

※ 今後の状況により、イベントの実施が変更となる可能性がございます。
※ 新型コロナウイルス感染症対策を講じたうえで実施いたします。
※ ご参加の皆様にも感染予防のご協力をお願いしております。ご参加前にこちらをご確認ください。

コンサートに寄せて
《あかるい影》のために演奏するフルートの小品
段田尚子

ヴァンジ彫刻庭園美術館の自然豊かな場所に設置されたホセイン・ゴルバの《あかるい影》に、わたしは3つの小品を選びました。

この美しい庭園を訪れると、子ども連れのご家族を見かけることが多く、素敵な子どもたちの笑顔に出会います。
1曲目はデンマークの作曲家、カール・ニールセンが劇音楽「母」( Op. 41, FS 94)の中でフルート独奏のために書いた「子どもたちが遊んでいる」(1920年)です。劇中では再会した子どもたちが荒れ模様の嵐の中、山小屋で雨宿りする場面で演奏されますが、無邪気な美しさが紡ぎだされ、かつて子どもだった私たちの心の琴線に響く音楽です。

2曲目は、フランスの作曲家、ピエール=オクターヴ・フェルーが21歳の時に書いた「3つの小品」(1920-1921年)より「恋する羊飼い」です。この曲は、理性ではどうすることも出来ない、恋焦がれる一途な感情が、フルート1本でラヴレターのように表されています。

そして最後に、フランスの作曲家、クロード・ドビュッシーの「シランクス」(1913年)を演奏したいと思います。ガブリエル・ムーレのギリシャ神話を題材にした未完の舞台劇「プシュシェ(Psyché)」の付随音楽の1曲として書かれました。
「シランクス」は、ギリシャ神話のニンフ(精霊)の名で、劇中で、牧神パンはシランクスに恋し、にじり寄るのですが、シランクスは恐怖を感じて川まで逃げまどい、ついに葦に姿を変えてしまいました。葦になったシランクスの声に聞き惚れたパンは、その葦を折って笛にし、シランクスを偲んで笛を奏でます。その場面で、フルート奏者は舞台袖でこの曲を演奏することが想定されていました。

暗い影が《あかるい影》の身体へと変化したホセイン・ゴルバの作品が妖精の住処のような場所に設置されたとき、わたしには「シランクス」が聞こえてきました。シランクスがパンの奏でる葦笛の音魂に変化したことと《あかるい影》が呼応しているようでした。
「見えると見えない」、「不在の存在」の認識を表している《あかるい影》。
この作品がある特別な場所で3曲の演奏を通じて、掴みどころがなく、そして見えない多様な人間精神の営みの存在を感じて頂けましたら幸いに思います。

プロフィール

  • 段田 尚子 Naoko Tanda

    フルート奏者。多感な時期を関西及びニューヨークで過ごす。大学卒業後、イタリアへ留学。ミラノ市立音楽院ポストディプロマコース修了。ウンブリア音楽祭など、イタリア各地でデュオリサイタル、室内楽コンサートに出演。帰国後は演奏活動の傍ら、上野学園高等学校及び大学などで後進の指導に力を注ぐ。イタリアフルート協会の招聘により、サレルノ大学にて開催された国際フルートセミナーFALAUT CAMPUSの講師を務める(2015、2017、2018年)。リサイタルシリーズ「様々な空の下で」を主宰。

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