クレマチスの丘よりお知らせ
ナビレンズ(Navilens)とは?
ナビレンズ(Navilens)は、情報を埋め込んだタグ(QRコードに似た四角形のカラーコード)を専用アプリで読み込むと、埋め込まれた情報やタグからの距離を音声で読み上げてくれるシステムです。読み取り可能速度や距離、角度はQRコードやバーコードよりも優れ、インターネット接続がない環境でも利用できます。
スペインの民間企業と大学が共同開発したシステムで、スペインをはじめさまざまな国や地域で交通機関や文化施設などへの設置が進んでいます。
2種類のアプリが開発されており、「ナビレンズ」は視覚に障害がある方へのアプリケーションです。タグがどこにあるか正確にわからなくてもスマートフォンのカメラで周りをスキャンすればタグを読み取り、距離や情報が得られます。一方「ナビレンズGO!」は、設定された情報を視覚的にお知らせします。
https://www.navilens.com
設置の目的
ヴァンジ彫刻庭園美術館では、障がいの有無にかかわらず、すべての人が楽しめるユニバーサルなミュージアムを目指しています。
そのなかで特に課題を感じていたのが、視覚に障害のある方へ作品の情報を伝える方法や安全に施設内をナビゲートする方法です。この課題を解決するために、日本におけるNavilensのアクセシビリティ利用を牽引している「特定非営利活動法人アイ・コラボレーション神戸」のご協力を得て、2020年12月より「ナビレンズ」の設置を試験的に開始しています。
また、このシステムは多言語対応や文字で情報を伝えることも出来るため、異なる個性をもつ人々がそれぞれに豊かなミュージアム体験を実現するためのツールとしても活用していきたいと考えています。
ナビレンズアプリは無料でダウンロードできます
![]() ナビレンズ |
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![]() ナビレンズGO! |
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ナビレンズのタグは館内各所に設置されており、どなたでも体験をしていただけます
ナビレンズアプリを立ち上げ、画面のタグにかざしていただくと、タグに登録された情報を読み上げます。
(ネットリーダーをご利用の方は、グラフィック画面で表示をお願いします)
<現在設置されているタグの例>
チケットセンター
チケットセンターのタグを読み取ると、アプリでは次のように読み上げます。
「クレマチスガーデン&ヴァンジ彫刻庭園美術館入館料 大人1000円 高校生&大学生500円 小学生&中学生無料 高校生&大学生は学生証などをご提示ください。障害者手帳ご持参の方は半額です。お支払いは現金のみとなっております。開館時間は午前10時から午後5時。入館は閉館30分前まで。毎週水曜日が休館日。但し、水曜日が祝日の場合は開館し、その翌日休館。企画展以外の常設展示作品は、すべて芸術家ジュリアーノ・ヴァンジによる作品です。庭園にはクレマチスだけでなく、季節の花が咲いております。クレマチスガーデン&ヴァンジ彫刻庭園美術館内では、ご持参されたものを食べることはできません。よろしくお願いいたします。」
ガーデン内園路
チケットセンターのタグを読み取ると、アプリでは次のように読み上げます。
「前に進むと、ホワイトガーデンの入口があります。ホワイトガーデンの奥にはガーデナーズハウスというカフェがあり、トイレもあります。左に進むと、展示棟方面です。すでにホワイトガーデンを散策されたかたは、こちらが出口方面となります。右にある芝生とコンクリートの歩道の境目を杖で確認しながら歩いてください。」
作品解説「竹林の中の男」
チケットセンターのタグを読み取ると、アプリでは次のように読み上げます。
「《竹林の中の男》1994年 《層になった木を眺める男》から坂道を下った先にあるこの作品は、人物が竹林の中を歩いている様子を表現しています。約20メートルの範囲に、人物を囲むように、竹が約50本立っています。作品の詳細に移ります。スーツを着た男性は、竹林を抜けた先に立っています。やや前かがみの状態で、両手で顔を覆っていますが、指の隙間から覗く目は正面を向いています。また、ぜひ両側から顔を確認してみてください。片方の口角のみが上がっているため、様々な表情に読み取れます。体はブロンズですが、睫毛と眉毛は金で作られ、眼球には青色の石が埋められているなど、様々な素材が組み合わされています。これは「象嵌」と言う技法です。 また、竹はブロンズでできています。高いところで5メートルほどの長さで、本物の竹を型取って作られました。イタリアには竹はありませんが、ヴァンジが日本の京都で、生い茂った竹林を抜けた先に景色が広がったという体験から着想を得ています。」
作品解説「くつろぐ男」
チケットセンターのタグを読み取ると、アプリでは次のように読み上げます。
「《くつろぐ男》1993年 アフリカ産の、黒と青の御影石で作られたこの作品では、人物が寝転がっている姿が表現されています。高さ40センチほどの台座のうえに置かれた、縦1メートル、横2メートルほどの大きさの作品です。作品の詳細に移ります。この作品では身体が簡略化されています。そのため、人物像であることをすぐに認識するのは難しいかもしれませんが、よく観察すると目の窪みや、指や爪など、人間のパーツが表されていることが確認できます。男性は身体の左側を下に、右足は立て膝をつくようにしています。足と胴体、顔は切り離されています。この作品を見て、「のんびりしすぎて、体と足が離れたんじゃないか」といった感想もありました。」
そのほかの取り組み
館内案内用の触地図を設置しています。
どなたでも体験していただくことができます。(感染症対策のため触る前と後に手指消毒をお願いします)
手触りの変化で芝生や土を表現しています |
彫刻作品は、人工大理石を使ったミニチュアで再現 |
取り組みについて静岡新聞で紹介されました
ナビレンズの本格的な導入に向け、2020年12月20日(日)沼津市周辺のにお住いの視覚障害者の方を招いた実証実験を行いました。当日の様子は、2021年1月6日(水)の静岡新聞でも紹介されました。
同記事は静岡新聞のWebサービス「@S」でも紹介されています → 記事はこちら